有意義な夏休みを「創造」しよう!

 みなさんは「アイザック・ニュートン」をご存じでしょうか?功績を列挙するときりがないのですが、物体の振舞いを計算する「力学」の基礎を作った人物であり、「万有引力の法則」を発見したことで有名な人物です。

 「万有引力の発見」という功績とセットにして語られるのが「リンゴの木のエピソード」です。簡単にいうと「ニュートンは庭にあるリンゴの木から実が落ちるのを見て重力(万有引力)に気づいた」というものです。尾ひれのついた伝聞も多く、この話の真偽について確実なことは言えないのですが、万有引力について説明する際には必ずと言っていいほど語られるため有名になっています。話に登場するリンゴの木はニュートンの生家のものとされており、原木は既に老衰のため伐採されていますが、それ以前に接ぎ木によって世界中に植樹されています。それは日本も例外ではなく、私の出身大学にも子孫の木が植えられていました。

 ニュートンは、大学卒業後にそのまま大学での仕事をすることになっていました。ところが、ちょうどそのころに起きたロンドンでのペストの大流行によって大学が一時閉鎖したため、故郷に疎開することになりました。万有引力の発見に至る思考を深めたのはこの時期です。それまでの着想を含め様々な思索に没頭することができたニュートンはこの期間について「当時、私は創案において最盛期にあり、以降のどの時期よりも数学と哲学のことを考えていた。」と語っています。ちなみにニュートンよりさらに前の時代、劇作家シェイクスピアもペスト禍の影響により自宅で休暇をとっている間に「リア王」、「マクベス」、「オセロー」を書き上げています。

 このような休暇の過ごし方を「創造的休暇」と呼ぶそうです。社会生活には様々なしがらみや雑務があり、なかなかルーティンからはずれたことはしにくいもの。しかし長期休暇はここからいったん離れることができる期間です。にもかかわらず普段と同じようなルーティンで生活するのはもったいないなあと思います。

 塾の先生としては、つまずいた苦手分野の克服だったり、英語や古典の語彙を増やすなど、学期中には集中してやりにくいような勉強に取り組んでもらいたいところですが、この夏休みをみなさん自身で「創造的休暇」にしてくれれば幸いです。

Have a nice vacation!