最近、新しい生徒に国語を教える機会が多いです。で、国語のテストの点数を上げるためには、みたいな話をするわけですけれども、「文章をよく読む」とか、「設問を正しく理解する」という普通の話のほかに、かならず紹介するものに『国語入試問題必勝法』という短編小説があります。多分、国語の勉強に関して調べたことがあればどこかで目にしたことがあるのではないかなというくらいには有名だと思うのですが、どうでしょうか。例によって詳細はこちらをどうぞ。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000346030
大学入試の本文に自分の作品を使われた作者の方が、実際に解いてみたら満点をとれなかったなんて話もありますが、実は国語のテストで問われているのは「作者の考え」そのものではないという考え方が、この『国語入試問題必勝法』を読むと見えてきます。むしろそのテストを作った方、作問者がどう答えてほしいのかを設問から読み取る力の方が重要かもしれない、と本気で思えてしまうんですね。その詳細は作品を読んでいただくとして、今回思うのは、それって普段の生活でも必要とされるスキルだよね、ということです。
相手の言葉、しぐさ、表情から求めている答えを推測して、それとこちらの思惑をすりあわせるために返答を考える。なんているのはだれもが無意識にやっていることかなと思います。
「宿題をやってきた?」
「今週は忙しかったんです」
なんて会話も、質問に答えるならまず「すみません、やってきていません」からいうべきですが、それでは叱られると予想できるので、まずやってきていない言い訳を言う。という思惑があってのものです。
普段からこういうことをしてきているせいかな、と思うんですが、テストでも先回りした答えを書くケースが結構あるんですね。「○○がそんなことをしたきっかけは何か」みたいな設問に「××がまるまるしたこと」というきっかけを答えずに「△△と思ったから」と理由を答えてしまったりします。
別に普通の会話だったらそれでも「××があって、それに対して△△と思ったんだ」という因果関係は伝わりますから、多分会話としては成立しますが、国語の解答としては不正解になってしまいます。「自分が何を聞かれているのか」そして「どんな答えを期待されているのか」まで考えられると、大分国語のテストに対応できたといえるのではないかなと思います。
「国語だ」というだけで難しく考えてしまいがちですが、もう少し単純に、聞かれたことだけに答えることを意識すると、もしかしたらいいことがあるかもしれませんよ。
熊崎 泰介