「ジュブナイル」について

 「ジュブナイル」という言葉を聞かなくなって久しい気がします。主に10代の少年少女を対象とした文学作品の呼び名として使われていました。

 このあたりの呼び名は変遷が激しい印象で、ちょっと思い出しただけでも「児童文学」「ヤングアダルト」なんかは出てきますし、すこしずれてもよければ「ケータイ小説」とか、最近の「なろう系」なんかも近いところにある気がします。

 ただ、理屈っぽく考えると、全部似ているようで違うジャンルなのかなという部分もあります。「児童文学」というと10代に限らず小学校低学年や場合によっては未就学児まで含めた広い範囲を対象に取りそうですし、「ヤングアダルト」というとアニメや漫画に近いような作品を思い浮かべます。「ケータイ小説」や「なろう系」なんかはもう説明不要なくらい一つのジャンルになってしまっていますよね。

 そこで「ジュブナイル」とは何かを考えてみるわけですが、個人的には「ジュール・ベルヌ作品のような」ものというイメージになります。一つだけ作品を挙げるとすればやはり『海底二万マイル』でしょうか。例によって詳細はこちらからどうぞ。

https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488517045

 タイトルが『海底二万里』になってますね。私が図書館で借りたのもたしかこちらの表記でした。なんか「ジュブナイル」というと、こういうちょっと古い表記が合う気がします。メインの登場人物に10代の子がいるのは対象の読者の年齢層に合わせているとして、他の「ヤングアダルト」なんかに比べると恋愛要素は薄目な印象です。「児童文学」と比較した場合には科学的な内容など、少し難しめの内容が多めになるのと、逆にお説教めいた内容は少なめになるでしょうか。

 そしてここからはさらに個人的な偏見が強めなのですが、大体において漂流したりとか探検したりとか、どこか未知の世界へ旅するストーリーが多いと思います。その旅を通して少年少女が成長していく物語こそ、「ジュブナイル」だなあと感じてしまいます。

 こういう「ジュブナイル」作品を最近見ないなあと思うのですが、これは自分がそういうものを探さなくなっただけで、まだちゃんとあるのでしょうか。『ハリー・ポッター』シリーズなんかも多分ここに分類されるのでしょうけれど、上記の偏見から私としては「ジュブナイル」としては疑問符がつきます。

 まあ、おそらく私の「ジュブナイル」の範囲が狭すぎるだけな気がしてきました。とはいえ最近な映像作品を見ていると表現技術がすごくて、派手な事件とかは小説で読むより見たほうが面白いなんて思う人もいるよなあ、と納得してしまう部分もあります。「ハリー・ポッター」も原作だけでなく映画で有名になった部分も大きいと思いますし。

 小説でしかできない表現というか味わいというかがあるはずだと思うので頑張ってほしいところではあります。

 最後に、ちょっとくだらないことに気づいたのですが・・。もしかした私の中で「ジュブナイル」と「ジュール・ベルヌ」がつながってしまっている理由って「ジュ」と「ル」の音が共通しているおかげの刷り込みのせいだったりするんじゃないかなと。だからどうだということではありますが。